種苗法改正反対論へ反論している山下一仁キャノングローバル戦略研究所研究主幹の反論文を読んで

通常国会で改正が見送りになった種苗法改正問題で、「種苗法改正、ネットで拡散する反対論への反論-種子会社が法外な種子代を要求して農業を支配しているわけではない-」というタイトルで元農水官僚の山下一仁キヤノングローバル戦略研究所研究主幹が2020年 6月11日付の論座で持論を展開している。あまりに上から目線の文章で、こんなスタンスで農業行政に携わってこられたのかとぞっとした。農業は、産業政策としてだけで語られるべきではない、いや語られてはいけない、人々の命にかかわる問題として、国民全体が関心をもって合意形成が図られるべきものと考える私にとって違和感だらけの主張だったので、氏の論文に沿う形で感想を記したい。

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求めよう 集中治療体制の充実

新型コロナウイルス感染症は日本の医療体制がいかに心細いものかを明るみにした。

あのイタリアの半分以下

2020年4月1日の一般社団法人「日本集中治療医学会」の理事長声明によると、日本の人口10万人当たりICUのベッド数は5床

これだけでは多いのか少ないのかわからない。

そこで、比較として示されているのかイタリアとドイツの数字。

3月31日時点で感染者105,792人に対して死者12,428人、致死率11.7%イタリアは12床。一方ドイツはどうかと言うと、感染者71,808人に対して死者は775人、致死率1.1%ドイツのICUベッド数は29~30床

ドイツでは新型コロナウイルス感染症による死亡者のほとんどがICUのベッドで亡くなるのに対し、イタリアでは集中治療を受けることなく多くの人々がなくなった。

明らかに、集中治療体制が充実しているかどうかが、死に至らしめることなく命を救えるかどうかのカギを握っていると現実が示している。理事長は現実をしっかり見ろと訴えているのだ。

私たちは、報道を通じてイタリアの悲惨な状況を目の当たりにしたが、日本のICUのベッドの整備状況はそのイタリアの半分にも満たない現実。私たちはそこから何を想像しなければならないか、もうお判りでしょう。

ベッドはあるが…人がいない

また、理事長はただ単にベッドさえあればいいというものではないと、医師、看護師の配置の問題についても言及しておられる。

日本のICUの看護体制は2対1、つまり2人の患者さんを一人の看護師がみることになっている。でも、重症化した新型コロナウイルス感染症患者の治療をICUで行うには、感染防御の観点から1名の患者さんに対して2名の看護師が必要という。

ということは、仮に8床のICUがあっても、そこに配置された看護師は4人だから、2人のコロナ重症患者を受け入れたら手一杯だということだ。コロナ重症患者を受け入れるには4倍のマンパワーが必要だと強調しておられる。

また、日本では、重症肺炎に対して人工呼吸器を扱える医師が少ない、まして人口呼吸器でも治療が難しくなった場合に人の肺の代わりに人工的に作られた人工 肺によって酸素と二酸化炭素の交換(ガ ス交換)を行うエクモ( ECMO)を扱える医師となるとさらに限られるというのだ。

香川県は、新型コロナウイルスの感染拡大に備え163床のベッドを確保した。そこに、必要な医療スタッフが配置できるのか、さらに検証していきたい。