政策を県民と一緒になって作り上げていく、県民のものにしていく手法として、討論型世論調査(deliberative poll: DP)という手法を積極的に取り入れるよう、県議会総務委員会で提案しました。
この討論型世論調査、慶応大学のDP研究センターの資料によると、通常の世論調査とは異なり、1回限りの表面的な意見を調べる世論調査だけではなく、討論のための資料や専門家から十分な情報提供を受け、小グループと全体会議でじっくりと討論した後に、再度、調査を行って意見や態度の変化を見るというものです。
その意義は、普通、人々は、日常生活のなかでは考えることが多すぎて公共的な政策課題に対して、十分な情報を持てず、意見や態度を決めかねることが多い。この問題を克服するために企図されたのだそうです。十分な情報に基づき他者と討論を行うと、人々の意見や選好はどのように変化するのか、変化しないのか、このような問いにも実証的に答えようとする試みです。
議会制民主主義を補完するものとして、欧米では1990年代から使われ、日本でも2009年以降、国、神奈川県、藤沢市などで計7回実施されていると聞いた。(東京新聞より)
札幌では「雪と暮らし」をテーマに無作為に3000人にアンケート、その後200人が討論を重ね再度アンケートを取ったら、除雪について「税負担が増えても市が強化すべきだ」との意見が減少し、雪かきボランティアへの参加の意向や除雪トラック助成制度の活用を望む意見が増えたといいます。行政施策に対して感覚的、受け身的な反応から、一緒にあるべき方向に協力しようという積極性が生まれていると感じました。
フランスでは、149項目の提案がすでに法案に反映されているんだそうです。「産学界の代表でつくる従来の会議よりも市民の多様な声を反映でき、利害関係者の影響も受けづらい利点がある」とパリ大学教授もこの手法を評価しています。
地球温暖化防止策など地域の課題の解決策を見つける手法として、ぜひ取り入れてもらいたいと考えています。
リンク;討論型世論調査の意義と構造 | KeioDP 慶應義塾大学DP研究センター