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求めよう 集中治療体制の充実

新型コロナウイルス感染症は日本の医療体制がいかに心細いものかを明るみにした。

あのイタリアの半分以下

2020年4月1日の一般社団法人「日本集中治療医学会」の理事長声明によると、日本の人口10万人当たりICUのベッド数は5床

これだけでは多いのか少ないのかわからない。

そこで、比較として示されているのかイタリアとドイツの数字。

3月31日時点で感染者105,792人に対して死者12,428人、致死率11.7%イタリアは12床。一方ドイツはどうかと言うと、感染者71,808人に対して死者は775人、致死率1.1%ドイツのICUベッド数は29~30床

ドイツでは新型コロナウイルス感染症による死亡者のほとんどがICUのベッドで亡くなるのに対し、イタリアでは集中治療を受けることなく多くの人々がなくなった。

明らかに、集中治療体制が充実しているかどうかが、死に至らしめることなく命を救えるかどうかのカギを握っていると現実が示している。理事長は現実をしっかり見ろと訴えているのだ。

私たちは、報道を通じてイタリアの悲惨な状況を目の当たりにしたが、日本のICUのベッドの整備状況はそのイタリアの半分にも満たない現実。私たちはそこから何を想像しなければならないか、もうお判りでしょう。

ベッドはあるが…人がいない

また、理事長はただ単にベッドさえあればいいというものではないと、医師、看護師の配置の問題についても言及しておられる。

日本のICUの看護体制は2対1、つまり2人の患者さんを一人の看護師がみることになっている。でも、重症化した新型コロナウイルス感染症患者の治療をICUで行うには、感染防御の観点から1名の患者さんに対して2名の看護師が必要という。

ということは、仮に8床のICUがあっても、そこに配置された看護師は4人だから、2人のコロナ重症患者を受け入れたら手一杯だということだ。コロナ重症患者を受け入れるには4倍のマンパワーが必要だと強調しておられる。

また、日本では、重症肺炎に対して人工呼吸器を扱える医師が少ない、まして人口呼吸器でも治療が難しくなった場合に人の肺の代わりに人工的に作られた人工 肺によって酸素と二酸化炭素の交換(ガ ス交換)を行うエクモ( ECMO)を扱える医師となるとさらに限られるというのだ。

香川県は、新型コロナウイルスの感染拡大に備え163床のベッドを確保した。そこに、必要な医療スタッフが配置できるのか、さらに検証していきたい。


介護報酬改定に向けた恐ろしい財務省の考え

10月8日に開かれた財政制度審議会のなかで社会保障予算の議論が行われ、介護報酬をめぐって、財務省の驚くべき考え方を福祉ジャーナリストの田中元さんが伝えているので紹介する。

① 次の介護報酬改定に際して、マイナス6%引き下げを求めている。

その根拠は、「介護事業の経営実態が、収支差が+8%もある。中小企業は2 ~3%弱。その上回っている分だけ下げましょうというのだ。どう思います?

 要介護1の人に対する生活援助での「掃除」は要支援1・2と同じように地域支援事業に入れるべき。(軽度者を介護保険からはずしたい意図がありあり?)

③ 「介護報酬を下回る価格設定をしている事業者はほとんどなく、価格競争が行われていない。サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組みを構築すべき。たとえば、ケアプラン作成にあたり、ケアマネに価格の考慮を義務付ける等が考えられる。」(だって。安いサービスから優先的に使うことを強制することに?)

恐ろし。ようこんなこと考えるなあ。こんな考えで行われるようになったら、これはもう公的とは言えない。完全民営化と一緒だ。今でさえ十分でない介護環境を、ますます悪化させることにつながるのは間違いなし。それにしても、財務省の方々は、自分が介護を必要となることなど想像もしたことがないのだろうか?